近年、ラーメン業界では専門化を打ち出す店舗が急増しています。
特定のスープや具材に特化した専門店が多く見られるようになり、味噌ラーメンや塩ラーメンといった単一ジャンルにフォーカスする店が注目を集めています。
全国的に見ると、従来型の総合ラーメン店から専門店へのシフトは明らかであり、新規オープンする多くのラーメン店が専門業態を採用する傾向にあります。國丸もまた、この例にもれず味噌ラーメン専門店として営業しています。
今回は、このようなトレンドがなぜ起こっているのかを、探ってみようと思います！
ラーメン業界における専門業態化のトレンド
味噌ラーメンの成功事例
成功事例として挙げられるのが、味噌ラーメン専門店「麺屋・國丸」です。
2008年、高知県南国市にオープンした「麺屋・國丸」は、オープン当初に駐車場に対する車の行列ができ、捌くのが大変だったといいます。このころのラーメン業界では、専門店としては珍しかったのも相まって、瞬く間に人気店となります。
その後2013年に大阪に進出、FC展開と共に現在では四国と関西、北陸併せて12店舗を運営するまでになっています。濃厚でコクのある北海道百年味噌をベースに、様々な味噌を使ったスープを使い、時には期間限定メニューなど、意欲的なメニュー展開が特徴です。
地域ごとの特化メニューと店舗ブランディングの変遷
専門化が進むラーメン業界では、地域ごとの特化メニューが店舗の差別化に大きく寄与しています。
たとえば、「田所商店」では、北海道味噌や信州味噌、九州麦味噌など日本各地の味噌を活用し、地域色を感じながら食事ができる魅力を提供しています。これにより、単なる「味噌ラーメン専門店」という枠を超えて、地域性を活かしたブランディングを確立しています。
こうしたアプローチは、観光客や地元の人々双方に訴求力があり、地域の食文化と連動したラーメン業界の新しい動向とも言えるでしょう。
大手チェーン店と個人経営の差異に見る専門化へのアプローチ
専門業態化へのアプローチについて、大手チェーン店と個人経営店では明確に異なる戦略が見られます。
大手チェーン店は材料の一括調達や効率的オペレーションを活かしながら各地域に特化したメニューを提供するケースが増えています。一方で、個人経営店は店主の個性や味へのこだわりを前面に出し、特化したメニューを深堀りすることで支持を集めています。
たとえば「味噌ラーメン屋ちょりん」では、ひとつの味噌ラーメンでも多層的な味わいや独自性を追求することで、大手チェーン店にはない魅力を持たせています。
消費者ニーズの多様化と専門店のニッチ戦略
消費者ニーズの多様化も、ラーメン店の専門化の一因となっています。
現代では定番の醤油や豚骨だけでなく、味噌ラーメンや塩ラーメンを深く掘り下げた店舗が求められる時代です。特に健康志向やグルメ志向の人々は、高品質な素材やこだわりの調理法に価値を見出します。
「麺屋・國丸」のように、期間限定メニューとして旬の食材を使った変わり種の味噌ラーメンを提供するなど、工夫を凝らす専門店は、多様化する顧客ニッチにうまく対応しています。
専門化が進む社会背景
外食産業全体で進むカスタマイズ志向
近年、外食産業においてカスタマイズ志向が強まっていることが、ラーメン店の専門化を後押しする要因となっています。
消費者は単に食事を摂るだけではなく、自分の好みやライフスタイルに合った選択を求めるようになりました。味噌ラーメン専門店のように特定のジャンルに特化した店舗は、こうしたニーズを満たすことで注目を集めています。
「田所商店」のように、江戸前味噌を使った甘みのある優しい味噌ラーメンや、北海道味噌を使ったコクの強いラーメンなど、選択の幅が広がるメニュー構成は魅力的です。
独立店舗の増加と差別化競争の激化
ラーメン店主の独立ブームも専門化を加速させています。
例えば、「味噌ラーメン屋ちょりん」の店主は、著名店「味噌っ子ふっく」で修行を積み、さらにそのルーツを辿ると人気店「花道」の孫弟子となる経歴を持ちます。こうした新しい独立店舗が増える中、競争を勝ち抜くためには他店舗にない特徴や強みを打ち出す必要があります。
結果として、味噌ラーメンや塩ラーメンといったジャンルに特化した専門店が急増し、店舗間の差別化競争が激化しているのです。
地域ブランド化への貢献と行政支援
地域ブランドの価値が重要視される中で、専門ラーメン店は地域経済への貢献も期待されています。
たとえば、味噌ラーメン専門店では北海道味噌や信州味噌、九州味噌など地域に根付いた食材を活用することで、その土地ならではの魅力を活かします。さらに、行政の支援による地域活性化施策の一環として、地元の特産品を取り入れた限定メニューが登場するなど、ラーメンを通じた地域ブランド強化が進められています。
こうした取り組みが都市部だけでなく地方の専門店でも功績を上げています。
コロナ禍以降に高まったこだわり飲食需要
コロナ禍以降、自宅で飲食を楽しむ機会が増え、外食への期待値が変化しました。
単に空腹を満たすだけでなく、特別な体験を求める消費者が増えたのです。これにより専門店のニーズが高まりました。例えば、「麺屋・國丸」は、各テーブルにゆず酢（地域によってはかぼす酢）やガーリックチップ、辛味噌などの無料調味料が置かれています。
これにより、出された味噌ラーメンを自分に合うように調整することができます。また、國丸のゆず酢やかぼす酢は、國丸発祥の地である高知や徳島の特産品をつっているので、地域の食材をいただいているという感覚があります。
このように、たかが卓上調味料といえど、その地域の特産品などを使用することで、その瞬間が特別な体験につながるのです。
ラーメンのジャンル別専門店戦略
味噌ラーメン専門店の全国展開
近年、拉麺業界において目立っているのが味噌ラーメン専門店の全国展開です。
この背景には、味噌という調味料が持つ健康志向、地域特産素材としての魅力、そして多彩な料理アレンジが可能な点が挙げられます。たとえば、東京都豊島区に位置する「田所商店」では、北海道味噌から信州味噌まで幅広い味噌を使用し、味噌ラーメンの新たな可能性を探求しています。
味噌ラーメン専門店だからできる、全国のご当地味噌を使った幅広いレパートリーが魅力的なメニュー展開を可能としているのです。
エビ味噌やトリュフなど高級食材への特化
味噌ラーメンの進化の一つに、高級食材への特化があります。
エビ味噌やトリュフを取り入れたラーメンは、その贅沢な素材感と洗練された味わいからグルメ層に支持を得ています。一部の店舗では、濃厚なエビの旨味と味噌を重ねたプレミアムメニューが人気を博し、価格帯こそやや高めですが、その特別感が消費者に高い満足感を与えています。また、トリュフをアクセントにしたラーメンは、「ラーメン＝庶民的」というイメージを覆し、ラーメン業界の高級化を推進する役割を果たしています。
このようなメニューは、個人経営の店舗からも提供されるようになり、大手チェーン店との差別化が明確になっています。
ヴィーガン・ヘルシー志向ラーメンの台頭
健康志向が高まる中で、ヴィーガン対応やヘルシー志向のラーメンが注目を集めています。
このトレンドは、従来のラーメンに含まれる動物性食品や高脂肪なイメージを払拭し、より幅広い層の消費者に訴求することを目的としています。味噌ラーメンも例にもれず、植物性素材を活用したスープやトッピングに特化した店舗が登場しています。「味噌ラーメン屋ちょりん」でも、豆乳をベースにしたクリーミーなスープが提供されており、健康志向の高い女性客やシニア層からの支持を獲得しています。
こうしたヴィーガンラーメンは、環境負荷を軽減するという点でも注目され、持続可能な飲食業界の発展に寄与しています。
地方特産品を活かした限定ラーメンの魅力
地域に根差した素材を活用した限定ラーメンは、その土地ならではの個性を強調できるため、観光客や地元客の間で高い人気を誇ります。
たとえば、味噌ラーメン専門店では、北海道味噌の濃厚な旨味を活かした「味噌漬け炙りチャーシュー麺」や、伊勢味噌を使用した特製ラーメンが話題を呼んでいます。これらのメニューは地域産業の活性化にも繋がり、行政や地元企業との連携が強化されるケースもあります。さらに、季節ごとにメニューを変更することで、リピーターを引きつける工夫を行う店舗も増えています。
地方食材の魅力を最大限に引き出した限定ラーメンは、単なる一杯の食事を超えて、地域文化を発信する手段としての役割を担っています。
専門化の未来と課題
持続可能な専門ラーメン店の取り組み
専門ラーメン店が持続可能な運営を実現するためには、独自性のあるブランドコンセプトと柔軟な経営戦略が欠かせません。
例えば、「麺屋・國丸」は、味噌ラーメン専門店として「味噌一筋」をスローガンに掲げています。味噌に誠実に向き合い、味噌ラーメン専門店にしかできないメニューの考案イベントを、コンペ形式で年に1度開催し、期間限定メニューとして提供することになっています。
お客様に飽きられない、いつ来ても新しい発見があることで、持続可能な経営を可能にしているのです。
新規店舗数と競争過多による淘汰の現実
専門化が進む一方で、ラーメン店の新規参入が相次ぎ、競争がますます激化しています。
特に関西・四国では、味噌ラーメンを専門とする店舗の増加が顕著で、「麺屋・國丸」のような独自性を打ち出せない店舗は、淘汰されるリスクが高まっています。初日から長い行列ができる店舗もあれば、短期間で閉店を余儀なくされるケースも少なくありません。
この競争過多の状況では、トッピングやスープ、麺のクオリティはもちろん、価格設定や顧客対応など、細部にわたる戦略が生存の鍵となっています。
オンライン市場と専門店の連携モデル
近年、オンライン市場の活用は、専門ラーメン店にとって新たな収益チャネルとなっています。
特に「味噌ラーメン屋ちょりん」のような特徴的な味噌ラーメンを提供する店舗は、自宅でもその味を楽しみたいという消費者の需要に応えるため、ラーメンの通信販売を検討する価値があります。真空パックや冷凍技術を用いてラーメンを全国に発送する試みは、小規模な店舗でもその影響力を広げる可能性があります。
また、オンラインで季節限定や地域特化の味噌ラーメンを展開することで、実店舗への集客効果も期待できます。SNSや動画を通じて調理例を発信するなど、デジタルとの連携モデルはこれからの専門店経営において不可欠な要素となりそうです。
消費者との関係性強化を図るマーケティング戦略
専門ラーメン店の未来を切り開くためには、消費者との深い関係性を構築するマーケティング戦略が求められます。
例えば、「味噌ラーメン屋ちょりん」では、ラーメンマニアや地元の食通コミュニティを巻き込みながら、店の魅力を発信していくことが重要です。また、定期的に顧客アンケートを実施して新メニューに反映させる、SNSでフォロワーとの交流を積極的に行うなど、消費者と双方向のコミュニケーションを重視した取り組みが店舗ブランドの向上につながります。さらに、限定メニューや特典付きイベントを提供することで、顧客のリピート率を高めることも可能です。
専門店として深掘りした戦略を採用し、地域や業界全体での顧客接点の最大化を目指すことが未来の成長に直結します。
新たに味噌ラーメン専門店を開くなら國丸のFCで
いかがでしたか？ラーメン店の専門店化の裏側には、消費者行動と企業行動の駆け引きがあったのですね。國丸も消費者のニーズにこたえるだけでなく、消費者のニーズを引き出す側に回り、常に新しい扉を開いていきたいと考えています。
そのためには、各地に「麵屋・國丸」として味噌ラーメン専門店を浸透していきたいと思っています。皆様の地域にも、ぜひ味噌ラーメン専門店「麵屋・國丸」を出店しませんか？
物件のご相談や採用のアドバイス、内装や外装の完璧なサポートをもって皆様を支えます。
少しでも気になったら、資料請求いただければと思います。
この記事を書いた人
株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔（Kuwahara Tsubasa）
1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS（クラウド）のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。
