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フランチャイズ経営をする個人事業主の確定申告はどうやる?

メディア掲載

フランチャイズ経営をする上で、個人事業主の方は確定申告が欠かせません。

そこで、こちらではフランチャイズオーナー向けの確定申告の方法を解説します。

経費にできるものとそうでないものの判断基準、確定申告で失敗しないコツも紹介するので参考にしてください。

フランチャイズ経営をする個人事業主の確定申告には2種類ある

個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2つの方法があります。

2つの特徴や違いを紹介するので、参考にしてください。

青色申告と白色申告とは

まず青色申告は、複式簿記によって帳簿をつけることが義務になります。

具体的には、売上や経費などの記録をもとに仕訳帳と総勘定元帳を作成する必要があります。

さらに確定申告の際は、総勘定元帳をもとに損益計算書と貸借対照表の作成が必要です。

これらの資料を確定申告書(B)、青色申告決算書、控除関連の証明書類と一緒に提出します。比較的手間がかかる申告方法です。

一方で、白色申告では簡易帳簿の使用が許可されているので、青色申告ほどの手間はかかりません。

確定申告の際は、確定申告書(B)、収支内訳書、控除関連の証明書類を提出すれば事足ります。

なお、青色申告を選択する場合、税務署への開業届けと一緒に「青色申告の承認申請手続き」が必要ですが、白色申告の場合は事前申請が不要です。

また、開業して2ヶ月以内に税務署に青色申告の承認申請をしなかった場合、その年の確定申告は自動的に白色申告でおこなわれることになります。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告では具体的にどのような違いがあるのか、特徴やメリットを項目ごとに一覧にしたので参考にしてください。

青色申告(控除額65万円)青色申告(控除額10万円)白色申告
概要要件を満たした状態で青色申告の承認を得れば、税制上の優遇措置を受けられる申告方法青色申告の承認を受けていない人向けの申告方法
条件3月15日までに開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出なし
メリット・65万円の特別控除がある・赤字を3年間繰り越せる・30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる等・10万円の特別控除がある・赤字を3年間繰り越せる・30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる等申告手続きの負担が軽い
提出書類・確定申告書B・青色申告決算書・貸借対照表と損益計算書・第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)・第四表(損失申告用、赤字で青色申告する場合)・確定申告書B・青色申告決算書(損益計算書)・第三表(分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合)・第四表(損失申告用、赤字で青色申告する場合)・確定申告書B・収支内訳書
保存帳簿総勘定帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、経費帳法定帳簿、任意帳簿
保存書類決算時に作成した棚卸表
記帳方法複式簿記簡易(単式)簿記簡易(単式)簿記
特別控除を受けるための要件ありなしなし

フランチャイズ経営をする個人事業主が支払う税金一覧

続いて、フランチャイズ経営をする個人事業主が支払う税金一覧を紹介します。

所得税

1年間に得た総収入から、諸々の経費を差し引いた金額に対して課されるのが所得税です。

一般的な会社員の方は給与から天引きされているので、あまり馴染みがないかもしれません。

なお、フランチャイズのオーナーが確定申告をする際は、10種類ある所得のカテゴリーの中から「事業所得」を選びます。所得税の税率は以下の通りです。

課税対象となる金額税率控除額
1,000~194万9,000円5%0円
195万~329万9,000円10%97,500円
330万~694万9,000円20%42万7,500円
695万~899万9,000円23%63万6,000円
900万~1,799万9,000円33%153万6,000円
1,800万~3,999万9,000円40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

参考:「所得税の税率」(国税庁)

個人事業税

個人事業税は都道府県に支払う地方税の1つです。

会社員の方の場合、「法人事業税」として会社が負担していましたが、個人で事業をおこなう場合は自分で事業税を支払う必要があります。

なお、個人事業税はどの業種に属するかによって税率が異なりますので、詳しくは東京都主税局のサイトを参考にしてください。

参考:「個人事業税」(東京都主税局)

住民税

住民税は、1月1日時点で住んでいる市町村に支払う地方税です。

個人事業主が納める場合は「個人住民税」と呼ばれ、均等割と所得割の2つの要素から成り立っています。

均等割は、所得金額にかかわらず一律の金額が課税されます。

平均的な均等割の課税額は5,000円ですが、地域によって異なる場合があるので、詳しくは各自治体に確認が必要です。

所得割については、市町村が計算してくれるため、自分で計算する必要はありません。なお、所得割の税率は一般的に10%です。

消費税

消費税は、フランチャイズ経営をする個人事業主全員が支払うものではありません。

以下の条件のうち、いずれかに当てはまる場合にのみ適用されます。

  • 2年前の課税売上高が1,000万円を超える
  • 1年前の課税売上高が1,000万円を超える
  • 1年前の給与支払額が1,000万円を超える

そのため、売上や支払額が1,000万円以下の場合は免税となります。

なお、課税対象者となった場合は消費税課税事業者届出書を提出する必要があります。

課税対象期間によって、届出書の種類が異なるので注意が必要です。

税率は以下の通りです。

標準税率軽減税率
消費税率7.8%6.24%
地方消費税率2.2%1.76%
合計10%8%

参考:「消費税および地方消費税の税率」(国税庁)

フランチャイズ経営をする個人事業主が経費にできるもの

経費が多いほど利益を圧縮できるので、節税対策に繋がります。

しかし、何でも経費にできるわけではなく、やり方次第では脱税行為とみなされる場合もあるので注意が必要です。

そこで、こちらではフランチャイズ経営をする個人事業主が経費にできるものを紹介します。

経費とは 

そもそも経費とは、事業で収益を得るために使った費用のことを指します。

そのため、基本的に事業に関係のない支出を経費とすることはできません。

ただし、総収入から経費を引いた金額が所得となり、その所得に所得税が課されるため、経費にできそうな支出があれば、忘れずに経費計上しましょう。

そうすることで、少しでも税負担を軽減できます。

フランチャイズの加盟金は経費になる 

フランチャイズで開業をするには、本部企業への加盟金を支払うのが一般的です。相場は50万円〜300万円程度です。

こちらの加盟金は繰延資産として計上されるので、5年間かけて少しずつ経費計上できます。

ロイヤリティは経費になる 

フランチャイズの特徴として、開業後に本部企業に支払うロイヤリティがあります。

ロイヤリティの金額設定は企業によってさまざまで、毎月固定の金額のケースもあれば、売上額に応じて金額が決まる変動制のケースもあります。

なお、ロイヤリティは経費計上が可能です。

その他の経費にできる支出

フランチャイズ経営をする個人事業主が経費にできるその他の支出は以下の通りです。

  • 人件費
  • 従業員の社会保険料
  • 交通費・宿泊費・移動費
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 証明書等の発行手数料
  • 振込手数料・仲介手数料など
  • 外注費
  • 消耗品費(事務用品など)
  • 10万円未満の雑費
  • 広告宣伝費(チラシ・ポスティング・広告など)
  • 減価償却費
  • 飲食代(事業に関連するものに限る)

なお、事業主自身の給与や社会保険料、年金、健康診断費用、私的なショッピング費用などは経費計上できません。

確定申告に向けて必要な準備

続いて、フランチャイズ経営をする個人事業主が確定申告をするために必要な準備について解説します。

自分自身でおこなう場合と税理士に依頼する場合とで異なるので、それぞれ参考にしてください。

自分でおこなう場合

オーナーが自分で確定申告をおこなう場合、青色申告か白色申告かによって、準備する書類の種類や数が変わるので注意が必要です。

青色申告の場合は、開業届を提出する際に、一緒に申請書類を提出しておく必要があります。

確定申告をするタイミングで申請しても認められず、白色申告になってしまうので注意してください。

なお、青色でも白色でも、日々の支出や売上を管理する帳簿の存在は欠かせません。

紙ベースでアナログで管理するか、それともデジタルで管理するか、方法はさまざまですが、いずれにしてもしっかり帳票を整理しておきましょう。

税理士に依頼する場合

自分で確定申告をせず、税理士に依頼する方法もあります。

その場合、申告書の作成や細かな計算など経理業務は税理士がやってくれます。

オーナーは税理士から指定された資料(領収書や請求書等)や情報を都度提出すれば問題ありません。

なお、税理士に依頼するには依頼料が発生します。金額はどの程度の作業を依頼するかにもよりますが、10万円〜15万円くらいが相場です。

年商が低ければ、10万円を切るケースもあります。

フランチャイズ経営をする個人事業主が確定申告で失敗しないコツ

最後に、フランチャイズ経営をする個人事業主の方が、確定申告で失敗しないためのコツを3つ紹介します。

加盟金の経費処理は初年度にしない

先述したように、フランチャイズで開業するには原則として本部企業へ加盟金を支払う必要があります。

そして、加盟金が20万円を超える場合は繰延資産として計上しなければなりません。

つまり、加盟金を5年かけて償却する必要があります。初年度に経費処理をしないように注意しましょう。

先端設備等導入制度について調べておく

先端設備等導入制度とは、個人事業主を含む中小事業者向けの支援制度です。

事業用に機械や装置を購入した場合、税制支援を受けられます。

ただし、誰でも受けられるわけではなく、支援機関に事業計画を確認してもらい、申請が通れば支援を受けられるのです。

また、全ての市町村でこちらの制度を使えるわけではなく、導入促進基本計画の認定を受けた市町村でのみ使えます。

確定申告をしてから制度を利用しようとしても、その年は手遅れになる可能性があるので注意が必要です。

詳しくは中小企業庁のホームページを確認してください。

参考:「先端設備等導入制度による支援」(中小企業庁)

国民年金基金制度の活用を検討する

節税効果を期待できる方法として、国民年金基金制度が挙げられます。

国民年金基金制度とは、国民年金に上乗せする形で公的年金を受け取れる制度です(※1)。

掛金はすべて所得控除の対象ですので、所得税や住民税の節税効果を期待できます。

※1「国民年金基金制度とは?」(国民年金基金)

フランチャイズ経営をする個人事業主の確定申告についてのまとめ

フランチャイズ経営をする個人事業主の方の中には、これまで会社員だった方が多くいます。

慣れない確定申告を自分でおこなうのは、中々骨が折れる作業でしょう。

だからこそ、疑問点は税理士のような専門家に相談をしながら、経営が軌道に乗ったタイミングで税理士に依頼することをオススメします。

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